住宅ローンの返済が難しくなった場合、最終的には「自己破産」という選択肢を考えなければなりません。
自己破産とは、借金が返済不能になった場合に、裁判所に申し立てを行い、借金を免責してもらう手続きのことです。
自己破産手続きにはいくつかのステップがあります。
自己破産とは
自己破産とは、自分自身が借金を返済することが不可能であることを判断された場合に、裁判所に申し立てを行ってすべての借金を完全に帳消しする手続きのことです。
自己破産手続きが認められるためには、自分の持つ資産や将来の収入などを考慮し、返済が不可能であると判断される必要があります。
一般的には住宅ローンだけでなく、すべての借金が帳消しになりますが、一部のケースでは養育費や住民税、年金などの税金など、特定の債権には自己破産の効力は及ばない場合もあります。
自己破産を申請したら今後どうなる?
自己破産手続きを行うと、裁判所が免責を許可することで、借金の支払いをする義務が免除されます。
この手続きにより、債権者は特定の手続きを行わなければ債権の回収ができなくなり、督促状の送付や強制執行なども行えなくなります。
もし税金の滞納がある場合、すでに滞納処分が決まっている場合を除き、国税局も徴収することができなくなります。
自己破産手続きでは、すべての財産を失うわけではありません。
一部の財産は残すことができます。
確かに、大部分の財産は処分されてしまいますが、すべての財産が対象ではありません。
処分対象となるのは、99万円を超える現金や時価20万円以上の財産、高額な不動産などです。
また、自己破産申請をすると、基本的には7年間は再び免責を受けることはできず、一定の職業や資格に制限を受けることになります。
さらに、信用情報にも記録されるため、新しいローンを組むことやクレジットカードを作ることが困難になるというデメリットもあります。
住宅ローンの滞納で自己破産
住宅ローンの返済が厳しくなった場合には、自己破産を検討する前に、最初に金融機関に相談することが重要です。
例えば、転職などで収入が減少した際には、返済金額や期間の見直しや、住宅ローンの借り換えの可能性を検討してみることが一つの方法です。
他にも、解約できる生命保険や車の売却、固定費の削減など、お金を捻出する方法を考えてみましょう。
もし、それらが困難な場合には、「任意売却」という方法もあります。
任意売却は、住宅ローンの返済が難しくなった場合に、住宅を売却して残りの債務を減らす手段です。
任意売却をするには、住宅ローンを提供している金融機関の承諾が必要ですが、不動産の価値が高い場合には効果的な方法と言えます。
自己破産と任意売却の比較
自己破産とは、破産を宣告するために裁判所に申し立てを行い、自身が抱えているすべての借金をゼロにする手続きです。
自己破産の手続きを検討する前に、専門家と相談しながらあらゆる手段について検討し、他に適切な解決策がない場合に自己破産を選択することになります。
自己破産手続きを進めることで、借金の返済に対する取り立てが止まり、法的に保護されることによって精神的な負担が軽減される効果が期待されます。
任意売却とは、住宅を売却することで発生する利益を使って残債を減らす方法です。
これは、借金が膨らんでしまった場合に、債務者が住宅を手放すことで債務を少なくする手段として活用されます。
任意売却を行うことで、住宅の売却代金を債務の返済に充てることができ、債務問題の解決に向けた一助になります。
以上、自己破産と任意売却について説明しました。
自己破産は、借金の全額免除を目指す手続きであり、精神的な負担を軽減する効果があります。
一方、任意売却は、住宅を売却することによって残債を減らす方法で、債務問題の解決に向けた一手段となります。
専門家と相談し、自身の状況に合わせた最適な解決策を見つけることが大切です。
自己破産すると住宅ローンと家はどうなる?
自己破産を選択し、免責が認められると、住宅ローンの返済義務はなくなります。
ただし、自己破産した場合は、住宅ローンの有無にかかわらず、自分の所有する住宅を維持することはできません。
住宅ローンの返済が未了の場合や、完済済みであっても、住宅ローンの債権者である金融機関などによって、所有する住宅は財産と見なされて回収されます。
自己破産という道を選んだ瞬間から、所有する住宅は手放すことになってしまいます。
返済義務を免除する手続き
自己破産を申し立てる場合には、所轄の地方裁判所に必要な書類を提出しなければなりません。
その後、裁判所で裁判官と対面し、破産手続きの理由などについて質問される「審尋」という手続きが行われます。
審尋で特に問題がなければ破産手続きが開始され、その後「免責審尋」という手続きが行われます。
再度、裁判所で裁判官と対面し、ここでも特に問題がなければ免責手続きが開始されます。
しかし、もし免責が認められなければ、借金の返済義務は継続されることになります。
免責審尋から約1週間後、裁判所から「免責許可決定」という通知が送られてきます。
この時点で初めて借金の返済義務が免除されることになります。
ただし、住宅ローンの残債に関しては、免責許可決定が下りて初めて返済義務が免除されます。
自己破産手続きが開始されると、住宅に抵当権が設定されている場合には、その住宅は差し押さえられて競売にかけられることがあります。
競売による売却が行われるまでには時間がかかるため、その間は住宅に引き続き居住することができます。
この期間は、転居の準備などに利用することができます。
自己破産と個人再生の違い
個人再生は、自己破産とは異なる債務整理の方法です。
自己破産では、借金を完全にゼロにするために資産の一部が回収されますが、個人再生では、債務者が一部の債務を免除してもらい、残りの債務を返済する計画を作成します。
具体的には、債務者は裁判所に申し立てをし、個人再生再生計画を作成します。
この計画には、債務者が返済可能な金額や期間、利息の免除などが含まれます。
裁判所は、この計画が妥当であると認めれば、債務者は一定の期間(通常は5年程度)で再生計画に基づき返済を行います。
個人再生のメリットとしては、債務者が一部の債務を免除してもらえるため、総額の大幅な減額が期待できるという点です。
また、債務者は自分の収入に合わせた返済計画を作成することができるため、返済負担が軽減される場合もあります。
一方、個人再生にはいくつかの注意点もあります。
例えば、債務者は再生計画の期間中に一定の節制を求められる場合があります。
また、数年間の返済を継続する必要があるため、返済能力が十分にあるかどうかを慎重に考える必要があります。
自己破産と個人再生は、債務整理の方法として異なるアプローチを取っています。
自己破産では借金を完全に免除し、一定の資産が回収されますが、個人再生では一部の債務が免除され、残りの債務を返済する計画が立てられます。
どちらの方法が適しているかは、個々の状況や目標によって異なるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
個人再生の概要と住宅ローンへの影響
個人再生は、借金問題を解決するための債務整理方法であり、裁判所に手続きを行って行われます。
この方法では、借金の総額を減らすことができますが、完全に借金がなくなるわけではありません。
借金の総額に応じて、減額率が異なる特徴があります。
借金が多ければ多いほど、減額率も高くなります。
例えば、3000万円の借金があった場合、個人再生を行うことでその借金を300万円まで減らすことができます。
また、500万円の借金があった場合は、100万円まで減額することが可能です。
つまり、借金による負担を軽減することができます。
ただし、もし借金が100万円以下である場合、個人再生を行ったとしても借金は100万円以上には減りません。
そのため、借金が100万円以下の場合は、個人再生を行うことによるメリットはないと言えます。
自己破産と個人再生の比較
自己破産とは、裁判所に申し立てをして借金を完全にゼロにする手続きのことです。
この手続きでは、借金の総額に限度額はありません。
ただし、一定以上の資産を持っている場合は、それらの資産は回収されてしまうことになります。
一方、個人再生とは、裁判所に申し立てをして借金の総返済額を減らす手続きのことです。
個人再生の場合、借金の限度額は5000万円です。
借金が多額な場合は、自己破産よりも個人再生を利用する方が良いでしょう。
個人再生の特徴は、財産がなくならないことです。
つまり、住宅ローンを返済中の場合は、「住宅資金特別条項」という制度を利用することで、持ち家を失うことなく借金の減額が可能です。
ただし、個人再生手続き後は、減額された借金を引き続き返済する義務があります。
そのため、返済を続けるための収入が必要です。
収入がない場合は、個人再生が難しいと言えます。
自己破産後に住宅ローンは組める?
自己破産手続きを行った場合、信用情報機関によって金融事故情報が登録されます。
これは、借金の返済が滞ったり支払い不能になったりしたことが記録されるものです。
日本では、住宅ローンの審査では金融機関が個人の信用情報を確認することが一般的です。
そのため、自己破産をした過去がある場合は、住宅ローンを組むのが困難となることがあります。
ただし、必ずしも自己破産をしたことで住宅ローンが組めなくなるわけではありません。
事情によっては、自己破産をした過去を持っていても住宅ローンを組むことができるケースもあります。
一般的には、自己破産から数年経過し、借金返済や収入の安定が確認されれば、金融機関が住宅ローンを提供することがあります。
要するに、自己破産をした場合は信用情報に登録されるため、住宅ローンの審査には影響を与える可能性があります。
しかし、個別の状況によっては住宅ローンを組むことができることもありますので、専門家と相談しながら適切な対策を考えることが大切です。
破産後は5~10年程度審査が通らない
自己破産を経験した場合、通常は最低でも5~10年間は住宅ローンを借りることが困難です。
自己破産手続きが完了しても、金融事故としてブラックリストに名前が掲載されているため、すぐに削除されることはありません。
しかし、新規の借り入れ制限は自己破産した本人にのみ適用されます。
つまり、家族や配偶者がローンを組むことには影響はありません。
自己破産後に住宅ローンを借りようと考えている場合、家族や配偶者が保証人となり、返済義務を負うことを確認した上で、慎重に検討する必要があります。
まとめ|自己破産後にローン審査を通す方法
住宅ローンの審査に受かるための方法には、信用情報機関に問い合わせて過去の金融事故の記録を確認するという方法があります。
もし過去に金融事故の記録がない場合、住宅ローンの審査にはほとんど影響を与えません。
しかし、信用情報には記録が残るケースもあります。
例えば、「債務整理をしたことがある」「クレジットカードの支払いを延滞したことがある」「カードローンやキャッシングの返済を延滞したことがある」などの場合、最低でも5年間、自己破産の場合には10年間、信用情報に記録が残ると言われています。
もし気になる場合は、信用情報機関に問い合わせて記録の有無を確認することが重要です。
また、返済能力を証明するためには、使用しているクレジットカードの返済日を厳守することや、良好なクレジットヒストリーを築くための対策を取ることも有効です。
例えば、定期的にクレジットカードの返済を行い、支払い遅延や延滞を避けることが重要です。
このように、信用情報には過去の金融事故の記録が残る場合もあるため、住宅ローンの審査には注意が必要です。
過去の金融事故のない状態を維持し、返済能力を証明するための対策を取ることが大切です。