住宅を購入する際には、一般的には住宅ローンを利用することが一般的です。
住宅ローンは、いくらか数千万円という大きな金額の借り入れになることもありますので、住宅ローンを借りる際には、住宅ローン控除や減税の仕組みについて知っておくのがおすすめです。
住宅ローン控除は、新築物件だけでなく、中古物件の購入時にも適用されます。
この記事では、新築物件と中古物件それぞれの住宅ローン控除に関する条件や控除額の違いについて詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、正式には住宅借入金等特別控除という制度であり、住宅ローンの利息負担を軽減することができます。
住宅ローンを利用して金融機関から借りたお金で住宅を購入する場合、返済期間中に少しずつローンを返済することになります。
状況によっては繰り上げ返済などで返済期間を短縮することも可能ですが、住宅ローンの返済期間は最長で35年になります。
住宅ローン控除は、ローンの残高に応じた金額を所得税から差し引いて還付することで、住宅の所有者がローンの返済負担を軽減する制度です。
具体的には、住宅所有者が支払う所得税の一部を控除することで、実際にはローン自体に控除が適用されるのではなく、控除された金額が所得税として還付される仕組みです。
所得税は、働いている人が収入に応じて支払う税金であり、不動産の所有や株式の配当などの収入がある場合にも所得税の申告が必要です。
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
確定申告によって所得税を申告することで、一定の控除額が還付される仕組みが適用されます。
新築と中古の住宅ローン控除の条件の違い
住宅ローン控除の適用を受けるためには、新築と中古の場合で条件が異なりますので、住宅を購入する前にそれぞれの条件をしっかりと理解することが非常に重要です。
新築の住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン控除を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、住宅ローンを組んだ方の合計所得税額が3000万円以下である必要があります。
所得税額がこの範囲内でなければ、控除を受けることはできません。
次に、新築された住宅に入居する際の期限があります。
具体的には、新築された日または住宅の取得日から6ヶ月以内に入居する必要があります。
さらに、住宅ローンの返済期間が10年以上である必要があります。
返済期間が10年未満の場合、控除を受けることができません。
また、対象となる住宅の床面積も重要な条件です。
床面積は50平米以上でなければなりません。
また、床面積の2分の1以上が自身の居住スペースでなければなりません。
これは、住宅が十分な広さを備えていることを要求しています。
そして、最後の条件は、居住の前後2年間において、自身の居住用の財産を譲渡による長期譲渡所得の課税特例の対象とならないことです。
つまり、居住用の財産を売却して長期譲渡所得が発生していない場合に限り、控除を受けることができます。
これらの条件を全て満たしている場合、新築住宅であれば、居住用の条件と床面積の条件をクリアしていれば、住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、床面積は販売資料や売買契約書ではなく、住宅の登記簿面積に基づいて判断されます。
新築住宅の床面積は、登記簿上の内のりによって表されます。
また、バルコニーやベランダ、階段などは共有部分と見なされ、床面積には含まれませんので注意が必要です。
中古の住宅ローン控除の適用条件
中古物件を購入する場合、新築物件と同じ要件に加えて、さらに「築年数」または「耐震基準」の条件を満たす必要があります。
具体的には、以下のような要件が設けられています。
築年数
– 耐火建築物の場合:築25年以内であること – 耐火建築物ではない場合:築20年以内であること –
耐震基準
– 耐震基準適合証明書を取得した住宅であること – 既存住宅性能評価において耐震等級1以上が確認された住宅であること – 既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入している住宅であること なお、築年数の条件を満たしていない場合は、上記のいずれかの耐震基準を満たす必要があります。
中古物件を購入する際に注意が必要なのは、耐震基準です。
古い中古住宅では、現行の耐震基準を満たしていない場合があります。
耐震性能の低い住宅は、住宅ローン控除の対象外となるため、注意が必要です。
また、一人暮らし向けのコンパクトな中古住宅や投資目的の物件も、住宅ローン控除の対象外となります。
なお、増築やリフォームを行った場合には、住宅ローン控除の申請を行うことができますが、一定の条件があります。
具体的には、リフォーム内容や工事費用に関して一定の要件を満たす必要があります。
したがって、住宅の増築やリフォームを検討している場合は、事前に住宅ローン控除の対象となるかどうかを調査しておくことをおすすめします。
新築と中古の住宅ローン控除額
住宅ローンを組む際には、新築と中古の物件では控除額や期間が異なることに注意が必要です。
控除を受けられる期間は原則として入居から10年間ですが、消費税率が10%に引き上げられたことに伴う政府の特例措置やコロナウイルスの影響により、条件によって10年間と13年間の二種類に分かれています。
具体的に説明すると、新築の場合は入居から10年間、所得税の控除を受けることができます。
一方、中古物件では消費税の特例措置が適用され、入居から10年目~13年目までは、所得税と住民税の控除が受けられるようになっています。
また、控除額についても新築と中古では異なることがあります。
新築の場合、控除の対象となるのは住宅ローンの元本と利子の合計額ですが、中古物件では元本のみが対象となります。
つまり、新築の場合は利子分も控除の対象になるため、より多くの控除額を受けることができます。
以上のように、新築と中古の住宅ローンでは控除額や控除期間に違いがありますので、適切な計画を立てる際には注意が必要です。
ローンの選択や期間の設定については、専門家の助言を受けることをおすすめします。
新築の住宅ローン控除額
新築住宅の場合、消費税が課税される物件には控除額があります。
この控除額は基本的に、ローン残高の1%で計算されます。
ただし、控除額の上限は4,000万円となっています。
つまり、ローン残高が4,000万円以下の場合、1年間に最大で40万円の控除が受けられるということです。
そして、この控除額は入居から10年間に渡って続くため、トータルで最大で400万円の節税が可能なのです。
中古の住宅ローン控除額
中古住宅の場合、売買は個人間で行われ、消費税は課税されないため、上限額は2,000万円になります。
その結果、年間の控除額の最大限度は20万円です。
中古住宅には基本的に個人が所有者であるため、建物自体には消費税が課されません。
そのため、控除期間は10年間となります。
ただし、所有者が不動産会社などの課税業者である場合、建物代金にも10%の消費税が加算されるため、控除期間が13年間に延長される可能性があります。
まとめ
中古住宅の売買は、個人同士で行われるため、売買価格には消費税が課税されません。
一方、住宅ローン控除制度では、残高の上限が2,000万円となります。
したがって、年間の住宅ローン利息控除の上限は20万円となります。
中古住宅は通常、個人が所有しているため、建物自体には消費税が課税されません。
そのため、住宅ローン利息の控除期間は10年間となります。
ただし、所有者が不動産会社などの課税業者である場合、建物代金にも10%の消費税が含まれるため、控除期間が13年間になる可能性があります。
これは、住宅ローン利息控除の対象となる金額が増えるためです。